2021年1月22日 Apple Watchの心電図アプリが日本で解禁されて以降、早いもので約2年半経ちました。
しかし、現在も「22歳未満の方の使用を想定していません。」の文言が公式から消えません。
今回は、その理由を私なりに色々考察してみました。
AppleWatchの心電図アプリは万能?
結論から言うと、記録できる心電図に制限があるため万能ではありません。
そもそも、AppleWatchは数ある不整脈の中でも「心房細動」という不整脈を検出することを目的としています。
本品は、心房細動の兆候(心房細動を示唆する波形)の検出を補助的に行うものであり、従来の医師による診断に代わるものではない。
本品は、心房細動以外の不整脈の徴候の検出はできない。
引用元:「家庭用心電計プログラム」及び「家庭用心拍数モニタプログラム」の適正使用について|厚生労働省
そして、記録できる心拍数にも50~120回/分(心電図アプリバージョン 2では50~150回/分)と制限があります。
心房細動を示唆する波形の検出を行う心拍数範囲は 50~120bpm と限定されている
引用元:「家庭用心電計プログラム」及び「家庭用心拍数モニタプログラム」の適正使用について|厚生労働省
ため、50bpm 未満及び 120bpm を超える範囲は検出できず、常時モニタリングもしない。
つまり、危険度が高い不整脈(心室細動、心室頻拍)は心拍数が高くそもそも記録できません。
全ての心電図を記録できるわけでは無いので注意しましょう。
AppleWatchで記録できる「心房細動」は危険な不整脈?
心房細動という不整脈は起こっても心臓が止まるわけではないので、すぐに命にかかわる可能性は低い。
しかし、長引くことで脳梗塞、心不全を起こす可能性があるため、ほったらかしにせず気づいた時点で病院受診をすることが大切になります。
また、自覚症状がない人が多いみたいなので、日常で使用するAppleWatchで気づけると助かりますね。
22歳未満の使用が想定されていなり理由を考察
以降は、私の考察になります。
小児と成人で心電図の特徴が異なるため
心電図が異なる理由は、「成人と小児の心臓は発達の過程で、動き方が変化するから」というのが大きな理由の1つかと思います。
心臓には、右室と左室という2つの部屋があり、赤ちゃんの心臓は右室がメイン動き、左室が補助で動きます。
それが、成人に近づくにつれて左室がメインで動き、右室が補助に変わっていきます。
つまり、小児から成人になるにつれて心臓の動き方が変わるため心電図も変化するということですね。
また、小児心電図の対象が「新生児(生後28日未満)~思春期(8歳頃~17,18歳まで)」と年齢層に幅があり、発育段階で心電図が変化するため、成人に比べて正常な心電図の定義を決めにくいということも要因として考えられます。
まとめると、小児と成人では心電図の特徴が異なり、年齢で変化する可能性があるため、診断が難しい可能性があると思います。
年齢が若いほど脈拍が早く診断できない可能性があるため
人間は年齢が若いほど、正常脈拍数が高くなります。
特に、1歳未満は120~140、1歳から7歳は100~110回/分と成人と比較し高いです。
AppleWatchは正常な脈拍(洞調律)と不整脈(心房細動)を自動判定しており、正常な脈拍の判定範囲は50~100回/分です。
7歳以下の場合、AppleWatchの正常な脈拍範囲を常に超えているため、不整脈との違いがわからず診断できないと思われます。
ちなみに、脈拍が40回/分前後のアスリートも診断できないケースがあると思われます。
若年者は発生リスクが低いため
心房細動の発生率は、年齢が上がるにつれ上昇し、小児や若年者においては発生が極めて稀な病気です。
そのため、若年者においてはそもそも発生リスクが低く、動きも活発なためノイズ等の誤診を避ける意味でも使用を促していないのかもしれません。
今後22歳未満でも使用を想定されるようになるのか?
予想ですが、22歳未満の方の使用は今後も想定されることはないと思います。
理由は、上記の通り小児と成人で心電図の特徴が異なるため診断が難しい可能性があるのと、若すぎると正常脈拍数が早く診断できない可能性があるからです。
また、AppleWatch発祥地アメリカでは飲酒できる年齢が21歳です。
多すぎる飲酒は心房細動の発症リスクを高めるデータがあるため、この関係で22歳以上をターゲットにデータ取りをしている可能性が考えられます。
そのため、Appleが他国に買収されない限り推奨年齢は下がらないと思われます。
22歳未満は使用しても意味がないのか?
個人的に無意味ではないとは思います。ただし、20代前後の人限定です。
理由は、上記の考察から、若年者になるほど誤診や診断できない可能性が高いと思うからです。
逆に言うと年齢に進むにつれて診断できる可能性も上がると思います。
そのため、この考察が正しければ成人付近の20台は普通に診断できると個人的には思います。
まとめ
22歳未満推奨にはAppleが他国に買収でもされない限り今後もならないと思います。
22歳未満の使用は個人的に無意味ではないとは思います(ただし20代前後の人限定)
AppleWatchは不整脈の中でも心房細動を検出することに特化しています。
心房細動は、若年者の発症リスクは低く、発生してもすぐに死に至る病気ではありません。
そのため、22歳未満の方の使用が無意味とは思いませんが、そこまで急いで使用しなくてもよいのではないかなと思います。
また、AppleWatchの心電図アプリはあくまで診断を助ける補助デバイスであり、これ単体で診断を確定ができるものではありません。
もし不整脈に関して不安を感じる場合は、AppleWatchを頼るのではなく病院を頼りましょう。
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